※なにか気になる点がありましたらコメント欄からお伝えください。また、ご自身で工作をする場合には、けがなどしないよう注意を払って行うようお願いいたします。
(2021/10/11)
目次
1.はじめに
プリント基板をCNCルータを用いて製作した。まだ未完成ではあるが、いくらかまともなものができたので、一区切りつけておく。(この記事のメインは4.FlatCAM の部分)
※備忘録の要素が大きいので、再現性は保証できかねます。適宜、検索などでネット上の情報を確認していただけると助かります。
※至らない点などありましたら、ご指摘くださいますようお願いいたします。
2.構成
全体の構成の概要を以下に示す。(ここに挙げたものはほんの一例です。人によっては、もっと適したものがあるかと思います。)
2.1 CNC ルータ
2021/1/27 にAmazonにて購入した。
GENMITSU CNC ROUTER 3018-PRO
Sain SMART社製 GENMITSU CNC ROUTER 3018-PRO を利用した。組み立て式で、切削部は横300mm 縦180mm 高さ45mm 移動可能。スピンドルモータは10,000回転まで動かせる模様。CNC ルータの細かい話は筆者は理解していません。悪しからず。
ちなみに、防音と安全のため別売りのカバーを購入した。
別売りのカバー
2.2 PC Windows 10 Home (64bit)
Windows10のPCを用いた。(CPU RYZEN 1.8GHz、GRAPHICS RADEON メモリ8GB)
CNCルータはUSB接続にて動作している。
2.4 FlatCAM(ver 8.994 BETA 2020/11/7 64bit)
ガーバデータからGコードを生成するソフト。exe 形式のもの。Python ベースのものもあるようだが、ライブラリのインストールなどが手間取りそうだったので、こちらのものを利用した。
※Gコード:CNCルータを操作するうえで使用されるコード、命令。Gで始まる命令文から構成される。MやFの付く命令もある。
※twitterのTLよりFlatCAMのexeファイル(ver8.994β版 Windows10 64bit へ対応)が、FlatCAMのHPを見ても見当たらないことが判明しました。少しばかり試してみたところ、以下の方法にてダウンロードできることが分かりました。お試しください。
1.https://bitbucket.org/jpcgt/flatcam/downloads/ にアクセス
2.画面左下の「ダウンロード」をクリック
3.FlatCAM_beta_8.994_installers.txt (.zipでなくて)をダウンロード
4.3.のテキストファイルを開き、書かれているURLへ行き、書かれていたpassword を入力
5. 適当なファイルをダウンロード
(2021.12.14追記)
3.KiCad
ガーバーデータを出力するときの設定は、CNCルーターで基板を作る場合では、基板メーカーに発注する場合と少し異なる。以下のサイトなどに詳しく書かれているので、参照してください。
elchika.com
4.FlatCAM(※この記事のメイン)
Gコードを生成するソフト。削る深さや移動速度、スピンドルモータの回転数などを指定できる。ここでは F.Cu 層と B.Cu 層(基板の表、裏の銅の部分)のみの解説をする。Edge.Cuts の部分(基板の輪郭)やドリル穴については前出のサイト(「3.KiCad」内)を参考にしてください。また、手順中エンドミルと書いているが、V字カッターも使用可能である。
手順
1. ガーバーデータを開く
2. 基板の図が現れる。パターンの部分をクリックする
3. B.Cu などパターンを裏返したい場合は、[Options]-[flip on X axis]にて左右反対になる
4. 左側のウィンドウで[Properties]を選択
5. [Tools] の2番目[NCC Tool] をクリックする
6. [NCC Tool]のタブが開く。[Diameter] の表において、片方の項目を削除する。
(クリックして選択-左 右クリックーdelete)
その後、残った項目の値をエンドミルの直径に合わせる。(複数のエンドミルの直径を使い分けできるか、未確認)
7. 下のほうの[Generate Geometry]をクリックする。[Overlap]、[Margin] を変更してもよい。
8. 右のプリント基板のパターンのうち、削り取る部分が赤く変わる。
9. [Geometry Object]が開く。[dia]に手順6.にて指定したエンドミルの直径が表示される。
10. その下の[Parameters for Tool2]で設定ができる。
[Cut Z] 掘る深さ (mm)
[Travel Z] 高速移動時のZ軸(エンドミル先端)の高さ (mm)
[Feedrate X-Y] X-Y面の移動速度(mm/分)
[Feederate Z] Z軸の移動速度 (mm/分)
[Spindle Speed] スピンドルモータの回転数(rpm)
11. その下のCommon Parameters での設定
[Tool Change Z] エンドミル交換時のZ軸の高さ (mm)
(3018 PROでは高さ調整が必要。対応するGコードを読み込めない可能性あり)
[End move Z] 削り出し終了時のZ軸の高さ(mm)
[End move X,Y] 削り出し終了時のX、Y 座標 (mm)
12. [Generate CNC Job object] をクリックする。CNCルーター用のGコードが出力される。
(削る部分が青く変わる)
13. 中段の[Save CNC Code] をクリックすると、保存先を聞いてくるので、適当なところに適した名前で保存する
5.筆者の設定例
FlatCAM での設定例を以下にとどめておく。(未来の自分用)
710番目の手順内の値
[Cut Z] -0.1500 (mm) (銅はくの厚さが0.05mmくらいなので)
[Travel Z] 2.0000 (mm)
[Feedrate X-Y] 60 (mm/分)
[Feederate Z] 60 (mm/分)
[Spindle Speed] 10000(rpm)
811番目の手順内の値
[Tool Change Z] 使用しなかった
[End move Z] 15.0000(mm)
[End move X,Y] None (mm)
6.Candle.exe
GコードをもとにCNCルータを動かす。以下に簡単に手順を示す。
1. 基板を台座に固定する。水平方向での原点の調整を行う
2. Z軸(垂直方向)の原点調整をする(Z-prove)
3. FlatCAM にて生成されたGコードを読み込む
4. Gコードを走らせる
5. 完成
7.製作例
8.まとめ
プリント基板をCNC ルーターを用いて製作する手順を示した。さらに精度よく作り上げることができるように、手法を確立したい。
ゆくゆくは、2.54mm以外のピッチの部品や、表面実装の部品を実装できるプリント基板を製作できるようになりたい。